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デストラクション・トリガー:? 通常罠(TF6オリジナル) 自分フィールド上に存在するカードがカードの効果によって破壊された時に発動する事ができる。 相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。 解説:TF6オリジナルカード TF6でオリジナルカードとして収録された、通常罠カード。 アニメ5D'sの遊星vsブレオ戦で、ブレオが遊星に止めを刺す最後の1手としてセットした。 デッキ破壊デッキであっても受動的な発動条件がネックになり扱いづらい。 5枚のデッキ破壊ならばニードル・ワームで充分と言える。 使うのであれば何らかの方法で自らのカードを破壊することも考えておきたい。 激流葬やブラックホールの様な全体破壊で相手のモンスターを破壊しつつデッキを削られればベター ウォーム・ワームとは相性が良く、リミット・リバースで自壊させても発動できる。 TF6のCPUが扱うチーム・ユニコーンの使い方では、わざわざ伏せカード1枚使って相手の墓地を5枚肥やすだけの、 まさに「敵に塩を送る」行為にしかならない。 多くの場合プレイヤーが墓地アドバンテージを得られるので、ある意味ありがたいカードとも言える。 原作・アニメにおいて 遊戯王5D’sの「遊星vsブレオ」戦でブレオが使用。 残りのデッキが5枚となった遊星へのエンドカードにするつもりでセットしたが、ジャンク・デストロイヤーに破壊されてしまっている。 ちなみに、この時のブレオのフィールドには、このカードに加え、表側表示の幻惑のトリコロールとセット状態のダメージ・ランスも用意されていた。 遊星はこの3枚の内、幻惑のトリコロールとデストラクション・トリガーを破壊していたが、もしこのカードを破壊しそこねていた場合、後に遊星はスピード・ワールド・2の破壊効果を発動したことが原因で敗北していたことになる。 運が良かったと言えるが、デッキ破壊を戦術としているブレオがダメージ・ランスのようなバーンカード(※1)を用意していたことはいささか不自然であった。 同じことはデッキ破壊を引き継がなかったジャンにも言える。 作中では以下の効果だった。 通常罠 自分フィールド上に存在するこのカード以外のカードが魔法・罠カードの効果によって破壊された時に発動する事ができる。 相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。 モンスター効果による破壊は範囲外となっている。 ブレオはスピード・ワールド・2の効果で破壊してくると見越していたのだが、上記の通りジャンク・デストロイヤーに破壊されていた。 テキストには「このカード以外の」と記されているが、このカードは墓地から発動できるタイプの罠カードではないので、この部分は蛇足と言える。 (※1) 直接攻撃した攻撃力2000以上のモンスターの攻撃力を1000ダウンさせて相手に1000ダメージを与える効果を持つ通常罠。 関連カード ニードルワーム ゲーム別収録パック No.無し DS2011パック:パック:-(P)11:無し PSPTF6パック:パック:コンチネンタルサーカス(P)TF6 TF6オリジナル WiiDT1パック:パック:-(P)DT1:無し XBOXLiveパック:パック:-(P)XBL1:無し DS2010パック:パック:無し PSPTF5パック:パック:無し DS2009パック:パック:無し PSPTF4パック:パック:無し DS2008パック:パック:無し PSPTF3パック:パック:無し DS2007パック:パック:無し DS SSパック:パック:無し DS NTパック:パック:無し PSPTF2パック:パック:無し PSPTF1パック:パック:無し PS2TFEパック:パック:無し YOパック:パック:無し OCGパック:パック:無し ご購入はこちら クリック! 遊戯王&トレカ販売 カード&ホビー「KeyGrip」
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魔術師ギルド 穢れ、蘇りを禁忌とするため、操霊術師の数は少ないが、学問として学ぶものは存在する ごく一部の魔術師は、魔術師ギルドとしてのある種閉鎖的な存在を打開しようと、 文字、簡易な歴史など、基礎教育をほどこす塾のような場所を作ろうとしている 関連項目 魔術師ギルドヴェンネル城支部 エイバルク・セージュ バーニャ・カウダ
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「俺はどうしてゴーマになんか生まれたんだ!」 【名前】 メディア魔術師 【読み方】 めでぃあまじゅつし 【声/俳優】 海津亮介 【登場作品】 五星戦隊ダイレンジャー 【登場話】 第33話「アイドル初体験」 【所属】 ゴーマ族 【分類】 ゴーマ怪人 【モチーフ】 カメラ、映写機、骸骨 【詳細】 カメラや映写機がモデルのゴーマ怪人。人間態は「高村翔一郎」と名乗る青年。 頭部がカメラとなっていて、足にフィルムが巻かれているような容姿、普段は武器の剣による攻撃を行う。 写真の写っている人間から気力を奪う事ができ、奪った気力を人間に与えると獣のような人格に変貌させ、映像やフィルムを使った「メディア拳」という拳法で戦う。 高村翔一郎という人間に化け、芸能プロデューサーとしてリンに近付き写真を撮り、リンから気力を奪おうと画策するが、ダイレンジャーとの戦いの際に右腕に傷を負って応急手当をしたリンの健気な一面を見た事で自身の愚かさに気付く。 気力が奪われるのを助けた後、自身の正体が「ゴーマ怪人」という事を明かし、最中に「ガラ中佐」の襲撃に遭い、「メディア拳」を駆使して「ガラ中佐」に挑むも返り討ちにされ、リンの腕の中で亡くなる。 その直後、「ガラ中佐」の投げ付けた巨大化爆弾により自我を失った状態で巨大化する。 大連王と戦うが、大連王の前にはなす術もなく、最期は大連王の「大王剣・疾風怒濤」を受け爆散した。 【余談】 放送当時のスーパー戦隊シリーズではヒロインがアイドルとなって、アイドルにした相手が敵組織の怪人と言うパターンの回が放送される事が多かった。 演じる海津亮介氏は過去に『光戦隊マスクマン』でレッドマスク/タケル役としてレギュラー主演(他にもスーパー戦隊シリーズでゲストキャラとして出演。)。
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無限械(むげんかい)アイン・ソフ:? 永続罠 (TF6オリジナル) 自分フィールド上に表側表示で存在する「虚無械アイン」1枚を墓地へ送って発動する。 自分のターンに1度、手札から「時械神」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。 相手ターンに1度、手札から「時械神」と名のついたモンスター1体を捨てる事で、 自分のデッキからカードを2枚ドローする。 フィールド上に表側表示で存在するこのカードが墓地へ送られた時、 自分の墓地に存在する「虚無械アイン」1枚を選択して手札に加える。 解説:TF6オリジナルカード TF6でオリジナルカードとして収録された、永続罠カード。 アニメ5D sではゾーンが使用した。 虚無械アインの進化版。 相手ターン限定だが、ドロー加速効果は強欲な壺並みの1:2交換となった。 もっとも、虚無械アインと同じく闇雲に時械神を捨てても再利用しづらくなるだけなので、使用する際は状況に合わず手札に余っている時械神を捨てるなど、工夫する必要がある。 また、時械神を手札から特殊召喚する効果も持つ。 時械神のリリース軽減効果は自分フィールド上にモンスターが存在する場合は使えないので、その場合はこの特殊召喚効果が役立つ。 この効果を使用すれば、自分フィールド上に時械神を2体並べることも可能。 ただし、そのままでは次の自分のターンに両方ともデッキに戻ってしまい手札を失うだけなので、この効果で時械神を並べるのはそのターン中に止めを刺せる場合ぐらいにとどまるだろう。 最後の効果は時械神とは直接関係ないが、このカードが相手に除去された場合もすぐに虚無械アインから立て直すことができるので、あって損は無い効果である。 この効果は強制効果なので、無限光アイン・ソフ・オウルの発動コストでこのカードを墓地に送った場合も、効果を使用することが可能。 無限光アイン・ソフ・オウルはこのカードの効果を全て内包しているため、特に発動できないような状況でもなければ、すぐに進化させてしまうのが望ましい。 関連カード 時械神 ゲーム別収録パック No.無し DS2011パック:パック:-(P)11:無し? PSPTF6パック:パック:真タイムトラベラー(P)TF6:TF6オリジナル WiiDT1パック:パック:-(P)DT1:無し? XBOXLiveパック:パック:-(P)XBL1:無し? DS2010パック:パック:無し PSPTF5パック:パック:無し DS2009パック:パック:無し PSPTF4パック:パック:無し DS2008パック:パック:無し PSPTF3パック:パック:無し DS2007パック:パック:無し DS SSパック:パック:無し DS NTパック:パック:無し PSPTF2パック:パック:無し PSPTF1パック:パック:無し PS2TFEパック:パック:無し OCGパック:パック:無し ご購入はこちら クリック! 遊戯王&トレカ販売 カード&ホビー「KeyGrip」
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掘られるのはまずいんで掘る側でお願いします -未来永劫魔法使い- パーソナルデータ 名前 魔術師 属性 冥 / 風 Lv 13 同時出現エネミー 拳闘士・幻術師 能力値 筋力 10 敏捷 25 知力 25 信仰 10 器用 15 知覚 20 精神 35 幸運 1 戦闘値 命中 10 回避 15 攻撃 20 防御 40 魔導 30 抵抗 25 魔攻 70 魔防 80 行動 30 HP 500 MP 600 移動力 3 特殊能力 《風属性攻撃魔装:ソニックブーム》 タイミング メジャー 判定値 魔導 難易度 対抗 対象 単体 射程 5sq 代償 無し 効果 攻撃魔装による魔法攻撃を行なう(魔装による魔攻修正+30)。1ラウンドに1回、100HPを消費する事で範囲選択5を対象に2回攻撃を行なう 《連鎖する不運》 タイミング オート 判定値 自動成功 難易度 無し 対象 単体 射程 10sq 代償 無し 効果 Fによる達成値マイナス修正は-10ではなく-30とする 《アゲインストウィンド》 タイミング オート 判定値 自動成功 難易度 無し 対象 単体 射程 5sq 代償 無し 効果 対象にダメージが適用される直前に使用。ダメージを30点軽減する。1ラウンドに1回まで 《大一番》 タイミング オート 判定値 自動成功 難易度 無し 対象 自身 射程 無し 代償 無し 効果 行動値以外のジャッジ直前に使用。出目が8以上なら達成値を3倍、出目が7以下なら達成値を半分にする。1ラウンドに1回まで 《BS耐性:Lv1》 タイミング オート 判定値 自動成功 難易度 無し 対象 自身 射程 無し 代償 3HP 効果 BSを受けた直後に使用。BSを1つ解除する GMから 特に捻りも無い魔法アタッカーです。まあ幻術師が色々やらかすのでこっちはシンプルに。 大一番を外すあたりもう目から汗しか出ません(苦笑)
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-1-久遠の地は時に厳しく。 「ギャア!ギャア!」 「邪魔だ!」 飛び掛かってきた《ランポス》を、斬り上げて後ろへ飛ばす。 《ランポス》とは、鳥竜種-鳥脚亜目-走竜下目-ランポス科に属する、青に黒い縞の入った体に、鋭い嘴と爪に真っ赤な鶏冠を持つモンスターだ。かなりの脚力があり、5m以上跳ぶこともある。 大きな群れを作るが、普通、3~4匹で行動する。 だが、私の前には10以上のランポスがいる。 「あぁウザい!」 また、1匹。もう十数匹は斬った。支給された武器の、ハンターナイフはもう切れ味がない。鈍器だ。いつ折れてもおかしくない。 「ちっ」 軽くランポスの爪が肩を裂く。支給品は使い切った。「どうしてこうなったんだっけ?」 ヤバくなったら、なんか落ち着いてきた(笑 笑えねぇ >>次 タイトル
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『女教皇と青銅の魔術師』 某教師の日記 ○月○日 先日手に入れた東洋の海草から抽出した秘薬の成果が出たのか、頭皮がむず痒い。 大枚をはたいた甲斐があった。 この海草成分の何が効いたのかを研究すれば、さらなる成果を生み出せるだろう。 淡水で育ち養殖が簡単なものから抽出できれば、この薬だけで巨万の富を築ける。 東洋の生物図鑑のセットを経理に陳情。最優先としておく。 あと、本日は恒例の春の使い魔召喚の日であったが、平民を呼び出した生徒が二人出た。 ルーンが両者独特であった。これも今後の研究対象にメモしておこう。 ギーシュ・ド・グラモンは武門の生まれである。 父も兄も立派な騎士であり、ギーシュは彼らに並び立つべく努力していた。 しかし現在の彼はドットメイジ。土の最底辺のメイジでしかない。 一応それなりの術は使えるが、戦力としてはまだまだ未熟。 親兄弟に認められる為にはもっと強力な、戦場でも役に立つほどの力が要る。 認められなければ? ―――知れたこと。血縁上価値ある人質として適当な人脈の娘をあてがわされ、ただの種馬扱いにされる。 他の貴族はいざ知らず、グラモン家は実力でその地位を掴み取った貴族なのだ。 力無い身内は、足手まとい。 だから彼は、使い魔の儀式には悲壮な決意をもって(外面は何事もないかのように振舞いつつ)挑んだ。 そして… 「はい?」 ギーシュは困惑していた。 召喚の儀式自体はうまくいった。呪文もつっかえなかったし、手応えだってあった。 一ヶ月前からの特訓(もちろん皆には秘密だ)は無駄ではなかったとほっとしたくらいだ。 ―――なのに何故、目の前には 顔面に重傷を負った女が、倒れているのか――― …級友は静まり返っている。リアクションに困っているようだ。 (ひょっとしたら僕がこの平民に大怪我させたって思われてる?) 「コルベール先生!召喚に失敗したようなのでもう一度やらせて下さい」 とりあえず怪我人を仰向けにしながら云う。目は開いているが意識は無いようだ。 (うわこの平民歯をボロボロに砕かれてる…グロい…) 友人がおっかなびっくり近づいてきて覗き込む。 「…うわ」「…ねえギーシュ、それ生きてるの?」「ぅぇぇ(嘔吐中)」 泣きたくなった。 誰も好き好んでこんなの召喚しねえよと言おうとしたら、コルベールU字禿から駄目押しが来た。 「ダメだ。君のやった儀式には何も問題は無かった。それは君が正しく召喚しそれに応えた使い魔だ。」 「…(心中罵詈雑言の嵐一分間)わかりました先生。では…契約します…」 口がボロボロなので上唇だけにキスをする。 (うう…なんでこんな目に…後でモンモランシーに口直しを…ってアレ?) ルーンが刻まれていく最中もその女は反応を示さなかった。 精神リンク確立。呼びかけるも思考の反応なし。やっぱり意識が無いのか… 五感リンク確立…ってしぎゃぁぁぁぁぁ! 当然、ダイレクトに重傷の痛みを共有してしまい、気絶した主と使い魔は共に救護室に運ばれる羽目になった。 (コルベール…知っててやったな…覚えてろ…育毛剤に脱毛剤入れてやる……) この後、ゼロのルイズが再び平民を召喚し契約したがギーシュがそれを知るのは翌日のことであった。 ★☆ 召喚儀式より数時間後――― 治癒魔法で怪我を完全に治癒しても、使い魔はほとんど反応を見せなかった。 名前だけは何とか聞き出せた。『ミドラー』というらしい。 正直、呼び出したのがフレッシュゴーレムやできたてゾンビの類じゃないと判ってほっとしたギーシュであった。 しかし… (精神リンク、五感リンク共完全に繋がっている。意思ある生き物なら多少の抵抗はあるのにそれすら全くない) (何か黒いような蒼いような感情が感じられるけど…絶望かな、これは?) (あの大怪我とこの状態から考えると、どこかの間諜が捕まって拷問を受けていた、ってところか。) 治療してみれば割と整った顔立ちをしている。 怪我に気を取られて気付くのが遅れたがよく見れば服装は踊り子のようだ。 当然彼はそんないかがわしい場所には入ったことは無い。服装をまじまじと見てしまい顔を赤らめたくらいだ。 とりあえずありきたりの服を着せておく。 (間諜ならそれなりのスキルはあるだろうし、意思が回復するまでは我慢するか…) 何とか自分を納得させる。これでただの平民だったらというのは考えない事にして。 「先生、僕の使い魔ですが回復するまで病室に置いてもらってかまいませんか?」 「かまいませんが、ちゃんと世話をしに来るように。明日以降はきちんと連れ回して外界に適応させる事。」 「はい。じゃあお願いします。」 (ああ、できれば見栄えのするグリフォンとかの幻獣がよかったなあ。) などと暢気な愚痴を漏らしながら自室に帰る。 彼は、自分が呼び出した者がどれだけ危険な存在か全く理解していなかった。 ★☆ 召喚翌日 ギーシュの日記 今日は人生最大の厄日だった。 まず最初の講義に使い魔を連れて行けなかったせいで、皆から笑いものになった。 よりによってゼロのルイズも同じ平民を召喚していた(しかもこっちは健康体だ!)ため、同レベル扱いされた。 何たる屈辱か。とりあえず嘲笑した奴の名前はちゃんとメモしておく。 その後食堂で、モンモランシーに派手に誤解された。 下級生のケティと二股かけてると勘違いしたらしい。完全に濡れ衣だ。 情緒不安定になってた後輩の気晴らしに付き合って遠乗りしただけなのに、なんでこんな目にあうのか。 まあその焼きもちが彼女の可愛いところでもあるのだが、公共の面前であの仕打ちはないんじゃないかモンモランシー。 あげく、うっかり話の流れと場の雰囲気でルイズの使い魔と決闘するハメになった。 なんとかこっちが話の落とし所を探して会話を打ち切ろうとしてたのに、あの馬鹿がつっかかってきて引けなくなった。 何も能力がないならせめて社会常識というか会話のマナーぐらい教えとけよルイズ… なんで僕が他人の使い魔に貴族への服従を躾けなきゃならないのか。 そして最後に 『その使い魔との決闘に負けた』 あの使い魔は残像ができるほどのスピードで動き、僕のゴーレムを両断するほどの剣術を見せた。 悪夢だ。 これで僕はこの学年で(いや、学園全体で、か?)ぶっちぎりの最下位メイジになった。 直前にモンモランシーが誤解したおかげで、彼女まで評価を下げることにならなかったのが唯一の救いか。 死にたい。 ★☆ 召喚二日目 昨日ギーシュは人生最大の厄日と日記に書き連ねていたが、それは昨日までの人生においての最悪であった。 そして今日、その記録は更新されることになる。 朝、使い魔を伴って授業に出る(朝飯は抜いた。) 教室に入った瞬間、皆の視線が一斉にギーシュと使い魔に向けられた。 (うう…視線が痛い…) 何やらぼそぼそと聞こえてくる全ての会話が自分の噂話のようにギーシュには聞こえてくる。 ミドラーは他人の視線にも全く反応していない。 ため息を付きつつ彼は図書室から借りてきた「精神と魔法」でなんとか対処法を見出そうと奮闘していた。 昼飯時、三年生の三人組がわざわざギーシュのところへやってきた。 教師の遠縁の下級貴族だ。 「ぎゃあーはっはっは、見ろよ相棒!本当に平民召喚してやがるぜぇ!」 「まあ平民に決闘申し込んで返り討ちにされる奴にゃあ似合いジャネーノ?」 「ああ、ガキくせー。」 (こいつら、まだ昔のこと根にもってやがる…) ギーシュはうんざりして無視を決め込む。 この三人が下級生の女子生徒にからんでいた所を、ギーシュが横から(予定があった様にあらわれて)女性を連れ出したのが確執の始まりであった。 女性には感謝されたが、モンモランシーに誤解されて危うく刺される所だった。 ギーシュは『美しいモノは相応の扱いを受けるべきである』という信条を貫いただけだったのだが… 「ああ!こっちを向けよテメーッ!」 「おいこの女白痴じゃね?」 何も喋らない使い魔の頭にソースをかけながら取り巻きが喋る。 そして致命的な一言を親分格が言ってしまう。 『まあ、こんな奴の主じゃあ知れたモンだろーなぁ!』 ソースをかけられたミドラーが何か反応を示すかと精神リンクを張っていたギーシュは、絶望や後悔を表す黒と蒼の精神の色が一瞬で怒りの赤一色に変化するのを感じた。 あまりの感情の波に引きずられてうっかり荒ぶる鷹のポーズを取ってしまったくらいだ。 そして彼は、自分の使い魔の意思ある言葉を初めて聞いた。 「DIO様のことを、侮辱したなッ!」 その場に居た全員が(誰?)と感じた。 しかし次に発生した事態のために誰もそんなことを構っていられなくなった。 床の石畳から、妙にカラフルな巨大な鉄の塊が飛び出して三年生を空中にふっ飛ばしたのだ。 「でェーッ!」「あ、兄貴!」 慌てて杖を構え…る前に、残り二人の足元から巨大な鉄のアームが瞬時に生えて二人を壁まで叩き付けた。 もちろん、途上にある豪勢な昼飯を全て巻き込みながら。 その時、その場に居た全ての生徒、全ての教師がミドラーを注視し、同時にほぼ同じ事を考えた。 (魔法を使っているッ!) (あの女、杖なしで魔法を!) (先住魔法か!) 天井に叩きつけられた最初の男が、静寂の中べちゃりと床に顔面から着地する。 それと同時に 悲鳴と怒号が交錯し、学院始まって以来の危険な使い魔がその猛威を奮い始めた。 フォークが踊るように飛ぶ 針金が束ねられたような縄が壁から生えて先生を団子のように縛り上げる 石畳から生えたトラバサミが生徒の足に噛み付く 三年生が呼び出した銅のゴーレムが、数十本の銛で壁に磔にされている ギーシュは自分の見ているものが信じられなかった。 明らかにこれは―――魔法だ。 スクウェアクラスの速さと強度を誇る、土の練成だ。 しかも杖を持っていない。 もしかして自分は、捕らえられていたエルフの間諜を呼び出してしまったのではないか? (止めなきゃ) がくがくと震えながらギーシュはバラを構える。 (止めないと皆殺される) (ただのメイジがエルフに勝てるもんか教師だって無理じゃないか) (止められるのは主のぼくだけででも怖い強制力なんてないし怖いそもそもこのエルフぼくを見てないし怖 い怖い怖い―――) ミドラーは飛ばそうとしていた銛を空中で急停止させた。 眼前に、バラの造花をこちらに捧げる様にした子供が飛び出してきたからだ。 記憶はおぼろげにしか無いか、たしかこの子は…怪我を治してくれたような…恩人? とりあえずこいつは敵ではないと判断する。 「隠れてなボウヤ」 「ららら乱暴はやめたまえ!」 ただの馬鹿のようだとミドラーは判断を下方修正し、とりあえず排除しようと――― 空気が震えるような凄みを食堂の入り口に感じ、反射的に身構えてそちらを見る。 長い白髪、床に届こうかとするほどの白い髭。 横一文字に構えた杖。 人の形をした悪鬼がそこに居た。 「やってくれた喃…」 妙なテンションでオールド・オスマンが囁く。 ミドラーは無言。両者15メイルほど離れて対峙する。 間に挟まれたギーシュはただ、 (空間が軋むようだ…) と、半ば死を覚悟していた。
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自然の魔術は、クリーチャーを呼び出す召喚魔法と強化魔法が主体の魔術。 戦闘中に戦力増強し、強化魔法でサポートしていく戦法になるだろう。 高レベルになると強力なクリーチャーが呼び出せるようになるので心強い。 召喚したクリーチャーは、戦闘終了後消滅するので使い捨て戦力として割り切って使える。 手持ち戦力を消耗したくない時にも活躍するだろう。 レベル1(消費呪文ポイント2) サモンウルフウルフが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:ウルフ一定数召喚 サモンスプライトスプライトが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:スプライト一定数召喚 サモンレプラコーンレプラコーンが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:レプラコーン一定数召喚 ストーンスキンこの呪文がかかった部隊は、接近戦防御力と射撃防御力が25%上昇する。 対象:味方1部隊効果:接近戦・射撃防御力25%up スピード味方部隊のスピードと移動力が3ポイント上昇する。 対象:味方1部隊効果:スピード、移動力3up テレインウォークこの呪文がかかった部隊は、戦闘中、どんな地形でもペナルティーを受けずに歩くことができる。 対象:味方1部隊効果:戦闘マップ上の移動ペナルティー無効 パスファインディング冒険マップ上での移動ペナルティーがなくなる。 対象:自分とその軍勢効果:冒険マップ上の移動ペナルティー無効 レベル2(消費呪文ポイント3) クイックサンド流砂が出現する。流砂の規模は詠唱者のレベルによって決まる。どの部隊も2フィートの流砂を渡るのに1ターンを要する。 対象:戦闘マップ上の任意の地点(クリックしてカーソルを移動させることで流砂の形状を指定)効果:流砂を作り出す、飛行しない部隊は2フィートの流砂を渡るのに1ターンかかる サモンエルフエルフが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:エルフ一定数召喚 サモンサテュロスサテュロスが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:サテュロス一定数召喚 サモンホワイトタイガーホワイトタイガーが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:ホワイトタイガー一定数召喚 ジャイアントストレングス部隊のヒットポイントと敵に与えるダメージが25%上昇する。 対象:味方1部隊効果:ヒットポイント・与えるダメージ25%up スネークストライクこの呪文がかかった部隊には、先制攻撃能力が与えられる。 対象:味方1部隊効果:先制攻撃能力付加 フォーチュンこの呪文がかかった部隊は、運が最大になる。 対象:味方1部隊効果:運最大化(10) ワスプスワームスズメバチの大群を召喚し、1ラウンドの間、敵の注意をそらす。ただし、アンデッドや機械仕掛けのクリーチャーには効果がない。 対象:敵1部隊効果:1ラウンド行動不可 レベル3(消費呪文ポイント5) アンチマジックこの呪文がかかった部隊には、戦闘中、すべての呪文が効かなくなる。 対象:味方1部隊効果:呪文無効 サモンアースエレメンタルアースエレメンタルが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:アースエレメンタル一定数召喚 サモンウォーターエレメンタルウォーターエレメンタルが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:ウォーターエレメンタル一定数召喚 サモンエアーエレメンタルエアーエレメンタルが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:エアーエレメンタル一定数召喚 サモンファイアーエレメンタルファイアーエレメンタルが召喚される。その数は、詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:ファイアーエレメンタル一定数召喚 ネクロマンシーウォード戦闘終了まで、<死>のクリーチャーを召喚する呪文と<アニメートデッド>の呪文が使えないようにする。この呪文は、死亡している者も含め、戦闘マップ上に存在する全部隊に効果がある。 対象:敵味方全部隊効果:死の復活魔法使用不可、アニメートデッド使用不可 マススピードすべての味方部隊のスピードと移動力が3ポイント上昇する。 対象:味方全部隊効果:スピード、移動力3up レベル4(消費呪文ポイント8) サモングリフォングリフォンが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:グリフォン一定数召喚 サモンユニコーンユニコーンが一定数召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:ユニコーン一定数召喚 サモンワスプワートワスプワートが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:ワスプワート一定数召喚 マススネークストライクすべての味方部隊に先制攻撃の能力が与えられる。 対象:味方全部隊効果:先制攻撃能力付加 マスフォーチュンすべての味方部隊の運が最大になる。 対象:味方全部隊効果:運最大化(10) レベル5(消費呪文ポイント12) サモンフェアリードラゴンフェアリードラゴンが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:フェアリードラゴン一定数召喚 サモンフェニックスフェニックスが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:フェニックス一定数召喚 サモンマンティスマンティスが召喚される。その数は詠唱者のレベルに比例する。 対象:自軍効果:マンティス一定数召喚 ドラゴンストレングスこの呪文がかかった部隊は、ヒットポイントと敵に与えるダメージが100%増える。 対象:味方1部隊効果:ヒットポイント・与えるダメージ倍増
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魔導師VS魔術師 前編 魔導師VS魔術師 中編 魔導師VS魔術師 後編 長編へ
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前ページ次ページ虚無の魔術師と黒蟻の使い魔 「うーん……」 ルイズは一人唸っていた。 自室のベッドに腰掛け、あごに手を当て考え込んだかと思うと、頭を抱えて俯いたりと落ち着きのない姿を見せている。 ふと、窓を見ると空が赤いことに気づく。 いつの間にか日が暮れていた。……そんな風に思えればどれだけ嬉しいだろうか。 ルイズの心中は、しつこくも地平線の上で粘り続ける夕日に対する憎々しげな気持ちで一杯だ。太陽など早く沈んでしまえばいいのに。 太陽が沈めば夜が来る。待ちわびていた夜が来る。 夜が来れば……。 夜が来れば? 夜が来たところで何も変わりはしないじゃないか。 夜が来たところで…… 「することがない……」 ルイズは暇を持て余していた。 ギーシュとの決闘の後、ルイズとギーシュには学院から処罰が下されることとなった。 謹慎5日間。 今日はその初日である。 謹慎期間中は授業には出られず、食事も自室でと、基本的に寮から出ることは出来ない。唯一の例外は風呂だが、それも時間を指定され、好きな時間に入ることはできない。 規則を破り、勝手なことをした分、勝手を、自由を制限される。 朝食、昼食と、シエスタが食事を持ってきてくれたので、その僅かな間だけは暇を持て余さずにすむが、それ以外は己一人、部屋の中にあるものだけで時間を潰さなければならないのである。 朝食をとった後、モッカニアの『本』の魔術審議の場面を読んでイメージトレーニングをし、魔術審議を行った。 続いてその成果を試すために黒蟻を呼び出していろいろと操ってみる。実践を積んだからだろうか、7匹同時に操ることに成功した。 ルイズとしては出来ることなら一日中でも魔術審議をしていたいところだが、魔術審議はやりすぎると混沌に近づきすぎて命を失う可能性すらある。 司書養成所であれば指導教官がその辺りを見極めて危険な領域に行く前に止めてくれるのだが、流石にモッカニアの『本』が止めてくれたりするわけは無い。そのあたりは自分で少しずつ限界を見極めていくしかない。 仕方なく魔術審議を打ち切った後、系統魔法のトレーニングをしようと思ったのだが、思いとどまる。部屋の中でトレーニングを行ったらルイズの場合取り返しのつかないことになってしまう。仕方なく、窓の外へ向かって魔法を放ったところ、教師から叱られた。 危険だ、と。 それはルイズ自身にも否定できない。 ルイズのすぐ横で窓ガラスがびりびりと震えていた。もう少し近くで爆発が起きてしまったら、おそらくガラスが割れて大変なことになっていただろう。 こうしてやることが無くなった。 部屋を見渡す。 暇な時にすることといえばやはり読書だろうと思ったが、今部屋の中にある本はモッカニアの『本』を含め全て読んだものばかり。 学院の図書館の品揃えが充実しすぎているため、いくつかの手元に置いておくべきと判断した本を除いて本は買わないようにしている。そして、必然的に手元に置く本というのはもう幾度と無く目を通したものばかりである。 モッカニアの『本』を除けばもう読み飽きたというのが実情だ。時々無性に読みたくなることがあるから手元に置いてあるのだが、暇なときに限ってそういった欲求が生じないものである。 ならばモッカニアの『本』を読めばいいではないかと思い、実際に読んではみるが……。『本』を読むという行為は、本を読むのとは違うのだ。『本』はほんの僅かな時間で莫大な量の情報が頭に流れ込む。 読み疲れるまで読んだところで、時間はどれほども流れていない。暇を潰すのには向いていないものなのだ。 ならば、手遊びに趣味の編み物でもやろうかと思ったが、ハルケギニアにもモッカニアの世界にも例を見ない革新的な毛糸の塊が出来つつあるのを見てやめた。 その後本棚の整理をしたりいろいろと足掻いた揚句、2時間ほど午睡し、目が覚めたらやっと空が少し赤らみ始めていたところだった。 やっと、日輪が地平線の下に沈みきった。 まだ空は明るいが、しばらくすれば夜の様相を示すだろう。 そこからまたしばらくの後、シエスタが夕食を持って来てくれる筈だ。それまでの辛抱。 夕食さえ来てくれれば、あとは精々のんびりと味わい、しばし食休みをし、後は入浴、そして睡眠と時間を持て余す暇はないだろう。 ならば、後は夕食が来るまでの時間を如何に過ごすかだけだ。 (あぁ、早くシエスタが来ないかな) そう思ったのと同時に、自分がついさっきまで寝ていたことを思い出す。 服に皺ができている。そんなに気にするほどのものでもないように思えるが、貴族たる者、人に見られる時はきちんと身だしなみを整えておかねばならない。 シエスタが来る前に身だしなみを整えねば。場合によってはシャツを取り換える必要もあるか? そう思い、姿見の前に立ち己の姿を確認する。多少皺が付いているが、わざわざ着替えるほどではないか……。 なんだか胸のあたりの皺が少し目立つように思える。 (むう) それは胸周辺の布地が余っていますと言わんばかりに思えてくる。 ルイズは己の両の二の腕で、左右から胸を寄せてみる。 しかし、そのようなことをしても平原は平原のまま。地殻変動で山が隆起することもなければ、渓谷が現れることもなかった。 「ぐうぅう」 ルイズの口から悔しげな呻き声が漏れる。 (いや、あきらめるな!) 私はこれから成長期だ。ルイズはそう己に言い聞かせる。 そして、縦しんばこれ以上の成長がならずとも、間もなく完成するはずだ。完成させるはずだ。アカデミーに勤める姉、同志エレオノールが、禁断の肉体改造魔法を完成させてくれるはずだ。 それまでの辛抱。今はただ耐えればいい。 しかしただ耐えるだけの日々も辛い。 ならば、その日が来るまでは、今あるものだけでいかに魅力を引き出すかを考えねばなるまい。 「こ、こうかしら?」 ルイズは鏡の前で腰をひねりしなを作ってみせる。 「んー? これもいいなぁ」 空が夜の様相を示し始めても、ルイズは鏡の前でポーズを取っていた。 「これか?」「これか?」「これか?」「これか?」 次々と、かわるがわるポーズをとっていく。 ルイズは己の魅力を如何に引き出すかに夢中になっていて、時間の経過も忘れていた。 そして、周りの音も聞こえなくなっていた。 「こっちのほうがいかなぁ?」 「あ、あの……」 故に背後からかけられたその声にも気づかなかったし、その前に幾度も繰り返されたノックの音にも気づかなかった。 「あ、あの! ミス・ヴァリエール!」 背後からかけられるその声が、気勢を強くしたことで、やっとルイズはそれに気づいた。 そして固まった。 人差し指を立てて口にあて、ウィンクした状態で固まった。今にも「禁則事項です」と言いそうな姿勢で固まった。 「も、申し訳ありません! ミス・ヴァリエール! 何度もノックして、返事もないのでその眠ってらっしゃるのかとも思ったのですが、ご飯が冷めてしまったら、その、何と言うか、申し訳ありません」 声の主はシエスタだった。 メイドとしてそれ相応の教育を受けているシエスタではあったが、鏡の前でかわるがわるポーズをとる貴族への対処の仕方など知らなかった。いや、それが貴族でなく平民のメイド仲間であろうと、シエスタには状況を乗り切る術など持ってはいない。 しどろもどろになりながら、とりあえず頭を下げる。 ギ、ギ、ギ。 そんな音が聞こえてきそうなぎこちなさで、ルイズの首が回り、シエスタの方へ向く。 その顔には、何かいろいろな表情が混ざり合ったような微妙な表情が張り付いている。 「も、申し訳ありません!」 シエスタは改めて頭を下げる。 「アラ、ナニヲアヤマッテイルノ? しえすた」 ルイズが口を開いた。 「え、あのその、お、お取込中のところ、失礼してしまって……」 「オトリコミチュウ? ワタシハナニモシテナカッタワヨ。ヒマヲモテアマシテぼーっトシテイタダケ」 「え?」 「アラ? しえすたニハ、ワタシガナニカシテルヨウニミエタノカシラ? ネエ、しえすた。アナタハナニヲミタノ?」 「い、いえ。ドアを開けたら退屈そうにボーっとしているミス・ヴァリエールが見えただけです」 「そ、そうよねぇ!?」 「は、はい! もちろん」 「「あははははは……」」 二人は顔を見合わせると、搾り出すように笑った。 「で、では、夕飯を運びますね! 少々お待ちください」 シエスタは何とも言えない空気に耐え切れず、そう言ってあわてて扉の外、夕飯を乗せたワゴンの元へと駆け寄ろうとするが、 「あ!」 そこで己が失念していた存在と目が合う。 ワゴンの傍らにマルトーがいた。 「失礼してもよろしいですかいね? ミス・ヴァリエール」 「だ、誰? あんた。何の用よ」 ルイズもマルトーの存在に気づき、再び固まりかけるが、マルトーのほうから口を開いたので、それに答える形で何とかフリーズを免れる。 「料理長のマルトーと申します。この学院の使用人の取り纏めもやっております」 マルトーはそう言うと深々と頭を下げる。 「本当はもっと早く伺おうと思っていたんだが、ですが、何分、仕事柄、朝飯作ったら昼の仕込み、昼がすんだら夜の仕込みといった具合で、こんな時間になっちまいまして……」 マルトーは少しぎこちない敬語で言う。それはあまり敬語を使い慣れていないせいかもしれないが、シエスタと同じように見てはならないものを見た故の動揺かもしれない。 どちらであるかルイズに見極めることは出来ないが、とりあえず、ルイズは何事も無い風を装い、マルトーを見据える。 「それで? 何の用なわけ? 配膳ならシエスタ一人で十分でしょう」 「礼を……シエスタを助けてくれた礼を、言おうと思ってな」 マルトーの口から発せられたのは、ルイズの予期せぬ言葉だった。 「え?」 「いやよ、あんた、シエスタが貴族に難癖つけられてるところを助けてくれたって言うじゃねえか」 マルトーは少し興奮した様子で、敬語も忘れてまくし立てる。 「だからよ。シエスタの上司として礼を言わせてもらいたくてよ。正直なところを言えばよ、貴族が平民を助けてくれるなんて、俺は思っても無かった。 それなのにあんたはシエスタのために決闘までして、怪我を負ってまで助けてくれたそうじゃねえか。あんたみたいな貴族がいたなんて俺は感動した。本当、ありがとうよう」 一気にまくし立てるマルトー。 その勢いに押され、絶句していたルイズ。 だが、マルトーが言い終えると、ルイズの顔が見る見ると紅潮していく。 「な、な。何言ってるのよ。れ、礼なんて言われる筋合いは無いわよ! シエスタは何も悪くないんだし、わ、私は、貴族として当たり前のことをしただけなんだからっ!」 ルイズは顔を赤くしながら、早口でまくし立てる。 「いやいや。流石だ。当たり前にシエスタを助けてくれるってんだから、本当、頭が下がるぜ。頭を下げて礼を言うぐらいしかできない自分が恥ずかしくなる。 そうだ! 何か好きな食べ物があれば言ってくれ。出来るだけメニューに加えるようにするからよ!」 マルトーも負けじとまくし立てる。 そんな二人のやり取りを見て、笑いながらあきれたようなため息をつくシエスタ。 二人を尻目に、机の上にクロスを敷くと、次々と皿を並べていく。 それが済むとまた二人を見る。相変わらずのやり取りが続いている。 「マルトーさん。ミス・ヴァリエールも困ってらっしゃいますよ。ご飯の用意も出来ましたし、それぐらいにしないと」 「お、そうか?」 シエスタの言葉に、やっと口を閉じるマルトー。 それをみてルイズはほっと胸を撫で下ろす。 「でも、私からももう一度お礼を言わせてください。有難う御座いました」 シエスタはそう言うと、にこりと微笑む。それを見て、再びルイズの頬は紅潮する。 「それに、凄い格好良かったです。男の人に、あんな風に腕っ節でも勝っちゃうなんて憧れちゃいます」 言うと、シエスタはファイティングポーズのようなものをとって、おどけて見せる。 「れ、れれれ、礼は、い、いらないって言ってるでしょ! それよりアンタ達。食堂の方の食事も始まるでしょ。こんな所に居ていいわけ?」 「はい。ではそろそろ失礼しますね。ごゆっくり召し上がってください。後程、食器を下げに伺いますから」 シエスタはぺこりと頭を下げると、マルトーを促して部屋を出て行く。 そんな二人の背中を、ルイズは呼び止める。 「ちょっと待ちなさい。マルトー。アンタに確認しておきたいことがあるの」 マルトーが振り返る。 「シエスタには確認したけど……。マルトー。あなたはこの部屋で何か変なもの見たりしたかしら?」 ルイズの言葉に、マルトーは思わず噴出しそうになる。 「いやぁ、俺は何も見ておりませんぜ」 シエスタとマルトーがルイズの部屋を出て、厨房へと帰る途中。 思い立ったようにマルトーが口を開く。 「シエスタよぉ」 「はい?」 「お前さんは立派な貴族だ何だと言ってたが、あれはアレだ。立派とかそういうのは置いといて……、変な貴族だな」 マルトーの言葉に、シエスタは思わず苦笑いする。 「ミス・ヴァリエールは、含羞の人なんですよ」 シエスタが言うと、マルトーは「なるほどなぁ」などと独り言ちながら歩いていった。 シエスタの並べた皿の前、ルイズは座っている。 決闘で、テンションの上がっていた時ならいざ知らず、改めて感謝の言葉を言われるとどうにも落ち着かない。照れてしまう。感謝されるのには慣れていない。 況してや、 「格好良かった、ねぇ……」 そんな事を言われるのは初めてだ。 ルイズは自分の左手を見る。 拳が少し擦り剥けてヒリヒリと痛む。ギーシュを殴ったためだ。 外れた右肩は、医務室で水系統のメイジに治してもらったため、もう痛みもない。 だが、左拳は小さな傷であったため、治療を担当したメイジも気づかず、そのままにされている。 しかし、傷の大きさのせいだけではないだろう。 貴族が決闘で拳を痛めるなど、思いもしなかったのだろう。だから見落とした。 闘っている時は無我夢中で気にしてなどいられなかったが、自分の手で殴るなど貴族の戦い方ではない。謹慎中で他の生徒と接する機会がないが、今頃、醜い戦い方だとこき下ろされているかもしれない。 しかし、シエスタはそれを格好良いと言ってくれた。 魔法の使えない平民ゆえの感想だろう。貴族であるルイズとしては素直には受け取りにくい言葉ではある。 しかし、この拳がなければ、決闘に負けていたのも事実。 「平民のために力をふるう」などと言っても、この拳がなければシエスタ一人救うこともできなかったのも事実。 「筋トレでもしようかしら、どうせ暇だし」 呟いてみる。 肉体強化の魔法は掛け算だ。 武装司書たちも、ただ肉体強化の魔術審議を繰り返すだけで超人的な身体能力を手に入れたわけではない。ロードワークや筋力トレーニングなどを並行して行うことによって、より強靭な肉体を手に入れる。 「ついこないだまでは『普通の貴族』、『真っ当な貴族』になることが目標だったのにね……」 ルイズは自嘲する様に言う。 「すっかりもう『変な貴族』になってしまったわね」 ハルケギニアのメイジで、魔法ではなく肉体を鍛えようとする者など、軍人ぐらいのものだ。 しかし、モッカニアたち武装司書を参考にして力を手に入れんとするルイズは、肉弾戦を魔法と並べて考えることができる。 モッカニアをはじめとした武装司書は、その比重に個人差はあれど、魔法も肉体もどちらも鍛えるものだ。 モッカニアは魔法に重きを置くタイプではあるが、その身体能力は飛行機による爆撃を回避してみせるという、ハルケギニアの常識からすれば規格外のレベルだ。 そもそも、ハルケギニアに戦闘機などないので比較しにくいが。例えばトロル鬼。例えばミノタウロス。そういった人間をはるかに超える肉体をもつ亜人にそんな所業ができるだろうか? いや、無理だろう。 トップクラスの武装司書になれば、その身体能力だけで亜人以上の脅威だ。 「……まぁ、とりあえずご飯ね」 そういうと両手を組み目を閉じる。そして始祖への感謝の祈りを捧げる。 信じ、敬い、そして裏切ってしまった始祖への祈り。 「ほんと、つくづく『変な貴族』よね」 「ふむ。5日間の謹慎ご苦労じゃった。今後このようなことの無いようにの」 謹慎最後の夜、ルイズとギーシュは学院長室に呼ばれていた。 この時をもって謹慎は終わり、晴れて自由の身となった。 「ミス・ヴァリエールは残っていただけますか?」 オスマンの隣に控えていたコルベールが口を開いた。 その言葉に怪訝とした顔をするギーシュだが、当のルイズが特に気にする風もないので、結局、何も言わずに退出した。 見送ると、再びコルベールが口を開く。 「さて、ミス・ヴァリエール。言われたものは持ってきましたか?」 「はい」 ルイズは答えると、ポケットからハンカチに包まれたモッカニアの『本』を取り出す。ここに来る前に持ってくるように言われたのだ。 手の上に乗せ、ハンカチを広げ、モッカニアの『本』のルーンのある面を見せる。 「ふむ」 それを見てオスマンが嘆息する。 「何しろこんな使い魔は例がなくての、少し調べさせてもらってよいかの」 「例のない使い魔ってことでしたら召喚して一目で解ることですのに、その時は調べもせずに契約させて、今更になって調べるのですか?」 少し嫌味たらしくなりすぎかとも思いながらオスマンの言葉に噛みつくルイズ。言われるままというのも癪だと思ったのだ。 言われてオスマンとコルベールがばつの悪そうな顔をする。 「いや、そうなんじゃがの。今は更に例の無いことが起こっておるじゃろ」 オスマンが弁解する。 「石が呼び出された時点で十二分に調べるべき事態だったと思いますけど……」 ルイズは更に皮肉を言いながらも、 「この子たちのことですね」 そう言ってモッカニアの『本』を持つのとは反対の手に黒蟻を一匹出現させる。 「ほお」「おぉ」 二人は思わず息を漏らす。 生き物が召喚される現象は、彼らの常識ではサモンサーヴァント以外に存在しない。紛れもなく前例のない状況だ。 「失礼しますよ」 そう言うとコルベールは杖を取り出しルーンを唱える。 ディテクトマジック。魔力を探知する魔法だ。 「どうじゃ?」 「そうですねえ。ミス・ヴァリエールとこの蟻の間に魔力的な繋がりがあるのは間違いありませんね」 「繋がりと言うと?」 「ミス・ヴァリエールからこの蟻に魔力が供給されています。しかし、蟻と石の間には特に何もありませんね」 「ふむ。つまり、蟻を呼んでいるのはミス・ヴァリエールであり、その石ではないということじゃの」 ディテクトマジックの結果について話し合う二人にルイズが口を挟む。 「当然でしょう。石ですもの。石が意思を持って何かをできるとお思いですの? オールド・オスマン」 「いや、その石が未知のマジックアイテムという可能性もあるかと思っての」 オスマンのその言葉に、 「そうですね。ミス・ヴァリエール。少しその石を調べてさせてもらいますよ」 コルベールが追従する。 (来たか) ルイズは心中で舌打ちする。 石はただの石であり、調べる必要は無い。そういう方向へもっていこうと思っての言葉だったが裏目に出た。 しかし、それも想定の範囲内。 「少々お待ちください」 そう言うとルイズはポケットから白い手袋を取り出す。 「触るときは手袋をしてください。それと机から30サント以上持ち上げないでください。くれぐれも気をつけて扱ってください」 「え?」 「当然ではありませんか? 使い魔と主は一心同体と習いましたよ。ならば、それは私自身も同じ。乙女の柔肌にそんなに簡単に触れていいと思っているのですか?」 面食らった表情のコルベールに、ルイズは満面に如何にもな作り笑顔を浮かべてみせる。 「随分大切にしているようじゃの」 「勿論です。メイジとして使い魔を大切にするのは当たり前でしょう。それが優秀な使い魔というなら尚更のこと」 乙女の柔肌云々は冗句。ただ、ルイズがこの使い魔を大切にしているのだと、そう認識させれば良い。そうすれば、主の目の前で使い魔に対して主の意に反した扱いをすることなど出来ないだろう。 直接触れさせるのだけはまずい。本当はモッカニアの『本』について調べられること自体嫌なのだが、この際触らせなければ、読まれなければよしとする。 「ディテクト・マジックには反応ありませんね。特に魔法がかかってるわけではないようです。見た感じはただの石ですけど、細かい成分までは解りませんね」 「ふむ。つまり石そのものに蟻を召喚する力はない。あくまでコントラクト・サーヴァントの影響と見るしかないようじゃのう」 「しかし、コントラクト・サーヴァントで使い魔が何かしらの力を手に入れることはありますが、主が力を手に入れるなど聞いたこともありません」 「阿呆。そんなもん言い様じゃわい。『主の目となる能力』などと言うが、『使い魔の視界を覗き見る能力』と言い換えれば主人の側の力じゃろう」 「うーん。確かにそうですね。ともあれ、前例から推し量る現在の研究では、コントラクト・サーヴァントは解らないことが多すぎますね」 「確かにのう。今回の様な前例から外れた事態でも起きない限り、原理原則が解らんとも、どんな能力を使い魔が手に入れようと『こんなもん』で済ましてきた部分じゃからのう」 「その辺りは、いずれ誰かが解明しなければならない部分でしょうね」 「そうじゃが、解明しつくしてしまうのも問題がある気もするのう」 「どうしてです?」 「もし使い魔召喚から契約までの仕組みが完全に解き明かされてみい。皆、好きなものを呼び出して、好きな能力を好き勝手つけてしまうようにならんか? 相応しい使い魔を召喚するという部分を無視しての」 「確かに。未知の部分があるからこそ、神聖な儀式足り得るのかもしれませんね」 「まぁ、杞憂じゃと思うがの」 オスマンとコルベールの会話をルイズは黙って聞いていた。 少し話が逸れてはいるが、都合のいいほうに話は転がっている。 結局ルイズの嘘は、秘密の部分を全てコントラクト・サーヴァントの未知の部分に押し付けることで成り立っている。蟻を呼び出すこの能力の原因をコントラクト・サーヴァントに求めるかぎりばれない嘘。 ルイズにとって都合の悪いパターン。コントラクト・サーヴァントの仕組みが解明されてしまった場合。謎を隠れ蓑にしているのに、その謎が無くなったらルイズの嘘は完全に破綻する。 だが、それは心配はないだろう。六千年に渡り未知であった部分が、今日、明日に突如解明されるなど思えない。多少の希望的観測に拠るが問題ないだろう。 「ところでの、ミス・ヴァリエール。お主はどうしてこの石を蟻の巣じゃと思ったんじゃ? それにどうして蟻を呼び出せると思ったんじゃ?」 オスマンが突如ルイズに水を向けた。 「それは……。コントラクト・サーヴァントをした時に、何と言うか、頭に情報が流れ込んできたというか……」 嘘ではない。「頭に情報が流れ込んできた」という部分に限れば。 使い魔と心が通じ合ったりだのというのはよくある話。その類だと思えなくもないだろう。 「なるほどのう」 オスマンの態度も、特にそれを疑う素振りはない。 「しかし、石の中に住む蟻など聞いたこともないわい。いや、それを言ったら大きさもじゃの……。こんなでかい蟻は初めて見るわい」 そんなオスマンの呟きに答えたのはコルベールだった。 「世界は広いですからね。どこかにそんな蟻がいても不思議はありませんよ」 そう前置き、 「決闘以来、図書館でいろいろと調べてみました。東方には竹の樹上に巣を作る蟻がいるとか、南方に水上に巣を作る蟻もいるとか。大きさについても3サントを超える種類もいるそうですよ」 コルベールが蘊蓄を披露する。 「そんなもんかのう」 オスマンもそれに適当な相槌を打つ。 「ふむ、まぁ、大体解った。いや、解らんことばかりじゃが、取り敢えず経緯と事情は把握できたし良しとするかの」 オスマンの言葉は、ルイズの使い魔に対する詮索の終了を意味する。 その言葉にルイズはほっと胸を撫で下ろす。 「わしから言えることは……そうじゃの、その黒蟻にはお主の魔力が与えられてるということを忘れんようにってとこかのう。ならば魔法と同じように使いすぎれば打ち止めになることもあるってことじゃ。逆に……」 「逆に、鍛えればより多くの蟻を使役できる、でしょうね」 オスマンの言葉をルイズは引き継ぐ。 「ほ、ほ。言うまでもなかったかの。いまいち解らんところが多いとはいえ、せっかく手に入れた力じゃ。大切にしんさい」 オスマンは言うと、何か言うことはあるかといった視線をコルベールに向ける。 「えー、そうですね。コントラクト・サーヴァントしたときに解ってたなら、そのときに言ってほしかったですね」 「あら? 石を召喚しても問題視しなかったのですもの。それが蟻の巣になってもさして変わらないと思いましたわ」 オスマンに水を向けられたので、取り敢えず言うことを探したコルベールだが、思わぬ反撃を受けて苦笑いする。 「まぁ。明日は虚無の曜日じゃ。久々の自由じゃ。羽を伸ばすがよかろう」 見かねたオスマンが場を締めくくるように言った。 「嫌われたのう。ミスタ・コルベール」 「いや、まぁ、言いたくなる気持ちは解りますよ」 ルイズのいなくなった部屋の中。 老人と中年の二人きりの反省会。 「どうなんじゃろうなぁ。蟻はあれでアリとして……」 「ガンダールヴや虚無の話が何処かに行ってしまいましたね」 「うーむ。取り敢えずあの使い魔をどうこうしようというのはやめたほうが無難かの。あの娘もアレを気に入ってるみたいだしのう」 「それは、やめたほうがいいでしょうね。そもそも道に外れた行為であったわけですし。本人が使い魔に納得していないならともかく……」 オスマンもコルベールも、ガンダールヴの調査のためなら使い魔を殺してもいいなどと思っているわけではない。 ルイズの使い魔が生物でなく、殺すわけではないということ。使い魔として主に奉仕するということが有り得ない存在であること。そして、その使い魔をルイズが嫌がっていること。 これらの理由が、言い訳があるからこそ、ガンダールヴを調べるために石を砕いてでもサモン・サーヴァントのやり直しをさせようという思考に至った。 しかし、その使い魔はルイズに蟻を呼び出すという力を与え、そしてルイズはそれを気に入っている。 それでは免罪符が足りない。 「ガンダールヴについては地道に調べていくしかないでしょう」 コルベールは諦めたように言う。 「しかしのう。もし本当に虚無、本当にガンダールヴだとわかったらどうする? ガンダールヴであるならやはり召喚しなおすほうが良いかもしれん」 「あの使い魔がガンダールヴだとハッキリしたら。彼女が虚無の使い手だとハッキリしたら……。そうなってしまったら本人に説明するしかないでしょう」 「その上であの娘がどうするか? か。もしガンダールヴの力をほしいと思ったなら……。わし等がやるのとは違うからの。不注意で石を落して砕けてしまう。そんな事故はいくらでも起こせるだろうからのう」 前ページ次ページ虚無の魔術師と黒蟻の使い魔